新規にブログ記事やコンテンツを作成するときに、他の類似サイトや書籍を参考に作成することはよくあると思います。そういった時に「参考元の文章や画像・イラストをブログの中に組み込んで見栄えをよくしたい!」みたいなケースもあるかと思います。実際に、メラビアンの法則によると、他人へ与える影響度は、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%と圧倒的に視覚情報が高くなっています。
他の資料から情報を持ってくるときいつも迷ってしまうのが、「流用する素材(文章)はそのまま載せてしまっても著作権侵害にあたらないの?」ということです。
この著作権が曲者で、単純にこの素材は使って「良い」・「いけない」といったものではなく複雑な条件の元に成り立っています。そのため、著作権侵害をするつもりがなくても、知らず知らずのうちに違反をしてしまっているということはあると思います。法律で決められている以上、知らなかったで済まされない場合もあり、怖いですね。
コンテンツ作成に集中したいのに、「著作権のことが気になって思うように作業が捗らない」といったことが私には何度もありました。
そこで、今回は同じような苦痛をもっている人のお役に立てるかとかと思い、ブログ等でよく迷うケースについて著作権侵害に当たるのかどうか調べてみました。
※ あくまで本記事は参考資料として活用いただき、最終的な掲載判断は、使う素材の情報元の利用規約を参照いただくのが確実かと思います。
著作物について
著作権についての概要は「文化庁」の公式サイトに詳細が記載されています。
これは意外ですが、著作物はすべての創作物に認められるわけではなく「著作者の思想または感情」を含まないものは著作物として認められない場合もあるようです。
ここの判断が少し曖昧なので著作権を主張したい場合は、利用規約などで書面に明示しておくのが妥当なようです。
著作権法で保護の対象となる著作物であるためには,以下の事項をすべて満たすものである必要があります。
(1)「思想又は感情」を表現したものであること
→ 単なるデータが除かれます。(2)思想又は感情を「表現したもの」であること
→ アイデア等が除かれます。(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
→ 他人の作品の単なる模倣が除かれます。(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
→ 工業製品等が除かれます。具体的には,小説,音楽,美術,映画,コンピュータプログラム等が,著作権法上,著作物の例示として挙げられています。
その他,編集物で素材の選択又は配列によって創作性を有するものは,編集著作物として保護されます。新聞,雑誌,百科事典等がこれに該当します。
「著作者の権利の種類」と「ブログ記事作成に関係する権利」
こちらも文化庁のサイトに一覧がまとまっています。
ブログ作成において、気をつけなければならない権利は以下の要項かと思います。
著作者の人格権(著作者の人格的利益を保護する権利)
・公表権(18条)
公表の著作物を公表するかどうか等を決定する権利・氏名表示権(19条)
著作物に著作者名を付すかどうか,付す場合に名義をどうするかを決定する権利・同一性保持権(20条)
著作物の内容や題号を著作者の意に反して改変されない権利著作権(財産権)(著作物の利用を許諾したり禁止する権利)
・複製権(21条)
著作物を印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製する権利・公衆送信権等(23条)
著作物を公衆送信し,あるいは,公衆送信された著作物を公に伝達する権利・譲渡権(26条の2)
映画の著作物を除く著作物をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利(一旦適法に譲渡された著作物のその後の譲渡には,譲渡権が及ばない)・翻訳権・翻案権等(27条)
著作物を翻訳し,編曲し,変形し,脚色し,映画化し,その他翻案する権利
ライセンス
商標
商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。
このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守るのが「商標権」という知的財産権です。
要は商品の「価値」や「信頼」・「ブランド」を担保する制度ですね。商標登録を受けるためには特許庁への出願が必要になってきます(先願主義)。商標登録が完了すると、登録した商標は独占的に使用することができ、第三者が類似した商品・商標を使うことや、新規に登録することを防ぐことができます。
パブリックドメイン
著作物に対して、知的財産権が発生していない状態または消滅した状態のことを示し、「誰でも自由に利用できる」という意味に近しい権利となります。
パブリックドメインが付与されるのは、「権利取得の不履行」・「法律が権利付与を否定する場合」などもありますが、主には「権利の保護期間の満了(著作者の死後50年 または 70年)」・「権利放棄」が一般的な適用条件となっているようです。
クリエイティブ・コモンズ(CC)
CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツールです。
CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができます。
● 表示 4.0 国際 (CC BY 4.0)
クレジットの表示を主な条件として、改変・商用・二次利用も許可されているライセンス。
● 表示 – 継承 4.0 国際 (CC BY-SA 4.0)
クレジットの表示・改変した場合には元作品と同じCCライセンスで公開すること条件として、改変・商用・二次利用も許可されているライセンス。
● 表示 – 改変禁止 4.0 国際 (CC BY-ND 4.0)
クレジットの表示かつ元作品を改変しないことを条件として、商用利用(転載、コピー、共有)も許可されているライセンス。
● 表示 – 非営利 4.0 国際 (CC BY-NC 4.0)
クレジットの表示かつ非営利であることを条件として、改変・再配布が許可されているライセンス。
● 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際 (CC BY-NC-SA 4.0)
クレジットの表示かつ非営利であることを条件として、また改変した場合には元作品と同じCCライセンスで公開することを条件に改変・再配布が許可されているライセンス。
● 表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際 (CC BY-NC-ND 4.0)
クレジットの表示かつ非営利かつ元の作品を改変しないことを条件として、再配布が許可されているライセンス。
ロイヤリティフリー
ロイヤリティフリー(royalty-free)とは、事前に取り決められた使用許諾範囲内であれば、知的所有権に関する追加の使用料(ロイヤルティー)の発生が免除されている著作物や技術のこと。
注意が必要なのは、パブリックドメインとは違い、著作権・知的財産権が放棄されているわけではなく、「特定の条件下のもと使用料が発生しない」といった意味のライセンスであるということです。なので、利用する際は利用規約を確認してその範囲内で利用しなければなりません。ただ、一般的には一度料金を払えば何度も追加の使用料を払うことなく利用できるというのが原則になっているようです。
ライツマネージド
ロイヤリティフリーが基本的に追加利用料金が無いのに対して、ライツマネージドは利用期間や利用条件に対して利用料金が決まっており、その範囲内でしか利用ができません。つまり、場合によっては追加料金が発生する可能性があるということですね。
MIT
Copyright (c) year copyright holders
以下に定める条件に従い、本ソフトウェアおよび関連文書のファイル(以下「ソフトウェア」)の複製を取得するすべての人に対し、ソフトウェアを無制限に扱うことを無償で許可します。これには、ソフトウェアの複製を使用、複写、変更、結合、掲載、頒布、サブライセンス、および/または販売する権利、およびソフトウェアを提供する相手に同じことを許可する権利も無制限に含まれます。
上記の著作権表示および本許諾表示を、ソフトウェアのすべての複製または重要な部分に記載するものとします。
ソフトウェアは「現状のまま」で、明示であるか暗黙であるかを問わず、何らの保証もなく提供されます。ここでいう保証とは、商品性、特定の目的への適合性、および権利非侵害についての保証も含みますが、それに限定されるものではありません。 作者または著作権者は、契約行為、不法行為、またはそれ以外であろうと、ソフトウェアに起因または関連し、あるいはソフトウェアの使用またはその他の扱いによって生じる一切の請求、損害、その他の義務について何らの責任も負わないものとします。
マサチューセッツ工科大学を起源とする代表的なソフトウェアライセンスで、比較的制限がゆるいのが特徴です。ただし、コピーライトとMITライセンスである旨をプロダクトファイルに含む必要はあります。開発を行う際に他人の作ったライブラリを取り込むことがあると思いますが、その際取り込んだライブラリがMITであればLICENCEの条件を確認して、特別な条件が付与されていない限り自由に利用することができます。
BSD
BSDライセンスにはいくつか種類があり、条項数によって区分分けがされています。世の中に出回っている大半のBSDライセンスは修正BSDですが、旧BSDを使用しているケースも存在はするので注意が必要です。
● 修正BSD(三条項BSDライセンス)
Copyright (c) year copyright holders
All rights reserved.
ソースコード形式かバイナリ形式か、変更するかしないかを問わず、以下の条件を満たす場合に限り、再頒布および使用が許可されます。ソースコードを再頒布する場合、上記の著作権表示、本条件一覧、および下記免責条項を含めること。
バイナリ形式で再頒布する場合、頒布物に付属のドキュメント等の資料に、上記の著作権表示、本条件一覧、および下記免責条項を含めること。
書面による特別の許可なしに、本ソフトウェアから派生した製品の宣伝または販売促進に、組織 の名前またはコントリビューターの名前を使用してはならない。本ソフトウェアは、著作権者およびコントリビューターによって「現状のまま」提供されており、明示黙示を問わず、商業的な使用可能性、および特定の目的に対する適合性に関する暗黙の保証も含め、またそれに限定されない、いかなる保証もありません。著作権者もコントリビューターも、事由のいかんを問わず、 損害発生の原因いかんを問わず、かつ責任の根拠が契約であるか厳格責任であるか(過失その他の)不法行為であるかを問わず、仮にそのような損害が発生する可能性を知らされていたとしても、本ソフトウェアの使用によって発生した(代替品または代用サービスの調達、使用の喪失、データの喪失、利益の喪失、業務の中断も含め、またそれに限定されない)直接損害、間接損害、偶発的な損害、特別損害、懲罰的損害、または結果損害について、一切責任を負わないものとします。
要は「著作権表示をする」・「書面上の許可なく開発者の名称を派生物の販促・宣伝に使わない」とう条件をもとに、自由に変更・再配布できるということですね。
● 旧BSD(四条項BSDライセンス)
修正BSDとは逆に派生物の広告に初期開発者を表示すること(謝辞)を条件としています。それ以外は修正BSDの内容と同様です。
GPL
MIT・BSDに対しGPLは「コピーレフト」のライセンスです。コピーレフトのライセンスを使用する際は、再配布するときにライセンスをそのまま適用する必要があり、その旨を明確に明示しなければなりません。つまり、再配布する時GPLライセンスにする必要があります。
また、再配布する際はソースコードの公開を原則とし、誰でも自由に入手、使用、改変、再配布することを許容する必要があります。
自由には使えるのですが、条件をしっかりと確認しておかないと知らずしらずの内に規約違反になりやすいライセンスです。
著作権これっていいの?
世の中の出回っている資料(イラスト・文章など)を、自分のブログやサービスに利用する
無断で使用するのはもちろんダメですが、参考資料として「引用元」と「引用である旨を明すること」で「引用」として認められることがあります。
ただし、個人サイトから引用すると思わぬ落とし穴がある可能性もあるので、文章であればなるべく公的なもの、イラストなどの素材であれば利用条件がしっかりと明記されている素材サイトから利用するのが一番安全ですね。
こちらも文化庁のサイトに「引用における注意事項」がしっかりと明記されています。
引用における注意事項
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)
他のサイトのスクリーンショットを自分のサイトに貼り付ける
許可なくSNSのスクリーンショットを撮って自分のブログに貼り付けるのはNGです。
ただし、「twitter」や「Google Map」など埋め込み機能を利用する場合は認められているケースもあります。サービスの利用規約を確認してみましょう。
また、画面操作の説明などのためにスクリーンショットを掲載したという場合もあるかと思います。その場合「引用」として掲載は可能なようです。
利用条件は上記で記載した「引用」の注意事項を満たしていることにプラスして、引用元のサービスの利用規約に制限がないか確認する必要があります。
Googleの画像検索で探したイラストをダウンロードして使う
Googleの画像検索でヒットする画像は、そのまま検索すると著作権は関係なく表示されるため、適当に選んでブログに貼り付けるのは危険です。
そこでどうするかというと、Google検索には「ライセンス」検索ができるためこちらを活用しましょう。「画像検索」 → 「ツール」 → 「ライセンス」 → 「クリエイティブ・コモンズ ライセンス」を選択するとクリエイティブ・コモンズライセンスの指定がある画像を絞り込むことができます。
ただし、上記でも述べたように「クリエイティブ・コモンズ ライセンス」でもいくつかの種類があるため、素材サイトに存在しないようなものでない限り、素材サイトで探した方がライセンスを確認する手間が省けるかと思います。
インターネット上のイラストを真似して書いたイラストを掲載する
これに関しては自分で新しく描いたものだから大丈夫だろうと思いがちですが、対象の素材に著作権が適用されている場合、そのままトレースすると著作権侵害になる可能性があります。
なので、元素材の著作権に問題がないか確認し、問題がある場合、元素材との類似性が認められない程度に変更を行う必要があります。
企業やサービスのロゴをブログに掲載する
これは私もやってしまっていたミスなのですが、企業の公式サイトから配布されているロゴ以外の掲載は避けましょうというのが結論です。
インターネットで検索すると、ロゴのフリー素材みたいなサイトがありますが、公式から許可を得ていないケースもあり危険です。
また、ロゴには企業のブランドイメージがあるため勝手にアスペクトやカラーをいじるのは基本的にはNGのようです。利用規約に従っての掲載が必要です。
例外として、デザイン性のないフォントのみのロゴの場合、著作権が認められないケースが多いようです。
インターネット上に公開されているソースコードをそのまま自分のサイトに掲載する
誰が書いても同じようなコードになる(短いソースコード)場合著作権は適用されません。
ただし、ある程度の長さのスクリプトを書くとなると、書き方の個性が出てくると思います。その場合、著作権侵害として認められるケースもあるようです。
特に、上記で記載したGPLやMITライセンスなどが適用されていないか注意が必要です。もし適用されている場合、その条件下でしかコードの利用はできないということになります。
海外のブログを無断で翻訳してブログに載せる
著作者の許可なく翻訳し、ブログに掲載するのはNGです。(翻訳権)
字幕や歌詞の著作権侵害のケースが多いらしいので注意しましょう。
おすすめ書籍
今回は私が実際にブログを書いていて直面したケースを中心にまとめましたが、著作権についてもっと様々な事例について知りたいという場合は、以下の書籍がおすすめです。
自分が著作権侵害を起こさないための事例はもちろん、もし他人に著作権侵害された場合どうしたらいいのか、といったことについても詳しく解説されています。
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